BLOG

2026/01/29 FOOD STYLE JAPAN関西

セミナー情報

2026/01/29 FOOD STYLE JAPAN関西

【イベントレポート】「感性のMeets」vs「データのJR西日本」-食と街の未来編集会議で見えた、繁盛店の共通項

2026年1月29日「FOOD STYLE JAPAN関西」にて、注目のセミナー「食と街の未来編集会議」が開催されました 。

 

登壇者は、関西の街遊びを牽引する情報誌『Meets Regional』の編集長・松尾修平氏 、JR西日本の商業施設開発(ルクア大阪、バルチカ03など)の仕掛け人・舟本恵氏、そしてモデレーターとして外食成長支援を行うルート株式会社の寺薗克浩氏  の3名です。

 

 

メディア、デベロッパー、支援企業。異なる視点を持つ3名のプロフェッショナルが語った、外食産業の現在地と未来についてレポートします。

 

1. 店選びの極意:徹底的な「感性」と「データ」の対比

本セッションで最も白熱したのが、取材対象やテナント誘致における「店選びの基準」でした。両者のアプローチは真逆でありながらも目指すゴールは一致していました。

 

■ Meets流:価格よりも「人」と「体験」

松尾編集長が重視するのは、料理の値段や有名度ではなく「どんな人が働いているか」「どんな出会いや体験ができるか」です。「エピソードやストーリーが生まれる店」「アナログでリアルな体験ができる店」を求めており、取材撮影の際は、あえて営業中にスタッフと一緒に飲みながら、自然な笑顔や賑わいを「隠し撮り」のような手法で切り取っているそうです。

 

 

■ JR西日本流:感性を捨てた「科学的マーケティング」

一方で舟本氏は、「我々にクリエイティビティや感性はない」と断言します。

バルチカ03(マルチカオス)などの開発においては、独断と偏見を排除し、徹底的なマーケット調査(Webアンケートやグループインタビュー)を実施。

「西梅田のワーカーが求めているのは、原価率が高く、スタッフとの属人的なコミュニケーションがある店」といった具体的な不足価値(ニーズ)をデータで導き出し、その価値を持つ店舗に「出店した方がいい」と論理的に提案する手法をとっています。

 

象徴的な事例:ヒロカワテーラー  松尾氏が「北浜の村長的存在」として紹介し、舟本氏がデータに基づいて商業施設へ誘致した立ち飲み店「ヒロカワテーラー」 。商業施設内でも本店以上に大暴れするほどの人気店となっており、感性とデータの両面から評価された成功事例として挙げられました。

 

2. 外食は「社会インフラ」であり、街の主役へ

かつてはアパレル店員が街のトレンドリーダーでしたが、松尾氏は「現在は飲食店のスタッフが一番かっこよく、街を引っ張る存在になっている」と指摘します。

舟本氏もまた、商業施設における飲食の重要性が年々増していると語ります。女性の社会進出や共働き世帯の増加により、外食は単なる娯楽ではなく、生活を支える「社会インフラ」となっています 。 「困った時に飛び込める店」や「日常使いの店」など、その街の生活者のニーズと合致した飲食店こそが、これからの街づくりの主役となっていくでしょう。

 

3. 人手不足時代の戦い方:DXと「可処分時間」

深刻な人手不足に対する解決策として、DXや新しいサービスの活用についても議論が交わされました。

 

  • DXの目的は省人化: 3人の業務を2人で回すための手段として活用すべき(舟本氏)。
  •  
  • エンタメ化するDX: スシローのビッグパネルのように、効率化だけでなく会話が弾むような「体験価値」のあるDXが評価されています。
  •  
  • アナログな革新「ヒトタメ」: 閉店後の清掃・片付けを代行するサービス「ヒトタメ」が紹介されました 。これにより、求人広告で「後片付けなし」と謳うことができ、離職率低下と採用コスト削減に大きく貢献しています。

また、寺薗氏からは「外食の競合はNetflixなどのエンタメである」という鋭い指摘がありました 。 胃袋の数は決まっていますが、「可処分時間」の奪い合いにおいては、家にいて動画を見るよりも「外に出たい」と思わせる体験価値が必要不可欠です。

 

4. 繁盛店に共通する「愛」と「言語化能力」

最後に語られたのは、繁盛し続ける店舗の共通点です。

  • 松尾氏:「愛」と「清潔さ」
    スタッフの熱意や楽しそうな雰囲気が客の財布を緩めます。特にチェックするのは「厨房とトイレ」。厨房が綺麗なら仕事が丁寧であり、トイレが綺麗なら客層が良い(次の人のことを考えて使っている)証拠です。
  •  
  • 舟本氏:「変化の言語化」
    商業施設の開発期間(約3年)の間にも顧客ニーズは変化します。日々の接客を通じて顧客の微細な変化を察知し、それを「言語化」してメニューやサービスを微調整できる店こそが、継続的に発展しています。

編集後記:インバウンド対策の正解とは?

会場からの「インバウンド対策」についての質問に対し、両氏の回答は共通して「地域住民(ローカル)を大切にすること」でした。

海外の旅行者は、入念なリサーチの上で「日本のリアルな日常」を求めてやってきます。西成の事例のように、英語ができなくても、地元の人に愛される濃いコミュニティがあれば、口コミで自然と海外客も集まってくるのです。

データで勝つか、愛で勝つか。手法は違えど、見つめる先には常に「その街で暮らす人々の笑顔」があることが再確認できたセッションでした。

ブログ一覧へ戻る

CONTACT US

各種サービスに関するお問い合わせ・ご質問、
導入をご検討中の方はこちらからお問い合わせください。

問い合わせる